本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

イギリスで子育てをしている著者の体験談。
 
イギリスは移民も多いし、階級社会も残っていて、さまざまな要素が入り組んでいる。
 
人種差別はもちろん、同じ白人同士でも所得格差による分断もある。
移民でも差別する人もいる。
それぞれいろんなバックグラウンドを持った人たちがいるので、知らずに地雷を踏むこともある。
 
一言で人種差別といっても、実際どういう風にされるのか、とても興味深かった。
こういう実体験の生の声というのは、ニュースには出てこない。
一つ一つのエピソードが新鮮だった。
 
イギリス政府の緊縮財政で、教育費がけずられ、教育現場に実際にしわ寄せが来る様子など、政治が実生活に影響を与えるリアルがあり、日本も他人事ではないと思う。
貧しい家庭がかなりあるようで、家庭環境の悪化で里親に出される子供も多いようだ。
 
しかし逆に、政治によって、社会はかなりよくすることができる可能性もあることを知った。
 
複雑に入り組んでいるイギリスでも、子供は自然と吸収し、たくましく育っていく。
はじめは差別してきたクラスメートとも、仲良くなっていく。
 
なぜそうなるのかを知り、他人の境遇を想像し、起きてくる出来事ひとつひとつに向き合っていけば、なんとかなっていくんじゃないかと思う。