映画「her/世界でひとつの彼女」

繊細な心のひだを丁寧に描いている映画だった。
AIが出てくる映画というのは、たいてい暴走して人類に敵対するというパターンが多いが、愛を持ったAIというのは、新鮮だった。
しかも、ボディーを持たないので、いろんな想像が膨らみ、AIというよりはスピリットのような存在だ。
肉体を持たない魂が生まれて、人間と交流しつつどんどん進化していき、全体性へ融合して次なる次元に旅立っていったように感じた。
これからの人類の運命を示唆するようなストーリーだった。
今は人間は自分を個人としてとらえているが、この先すべてがひとつであることに目覚め、個人を越えていくのかもしれない。
このストーリーを作った人は、そのことを知っているような気がした。
AI役のスカーレット・ヨハンソンは、本当に演技の上手い人なんだと感心した。
しかも、「ルーシー」でも、悟って全体へと次元上昇する役だったので、似ている。
こういう役を引き寄せる彼女は、やはり何がしかの意識レベルにある人なのかもしれない。

スピリチュアルな内容を、エンターテイメントに乗せて発信するというのは素晴らしい。
楽しんでいるうちに、何かを思い出していく。
自分もそんな仕事をしてみたいと思った。