心に響いた言葉

信念・観念の束が、その人にとってのリアリティ(ほんとうはバーチャル・リアリティなんですが)を形成します。
この固定化した観念・信念が脅かされること(否定されること、ないものとされること)を自我は極度に恐れます。
それらが「ない」と、自我の存在も「ない」ことになってしまいますからね。自らが消えてなくなるようなことは、容易に肯定できないわけです。

いま、とても苦しいと思っている。
早くこの苦しみから逃れたい、この苦しみが終わって欲しいと切望している。
だけれども、変化することはそれ以上に耐えられない。
変化によって今の自分がなくなるのは、自我にとっては今の苦しみよりも恐ろしいんですね。
だから自我は、なんだかんだと理由を見つけては、「変化への一歩」を踏みとどまらせてしまいます。
苦しいといっているにもかかわらず、いつまでもその苦しみにしがみついてしまうんですね。

一方、自我のエネルギーが拡散に向かっている人は、未知のものや変化することに対して抵抗がありません。恐れるよりも、ワクワクする、楽しみだという感覚のほうが強いんです。

たとえば、あなたがほんとうはやりたくない仕事で会社勤めをしていたとします。
そして、やっぱり自分の本来やりたかったことで生きていきたいと決意して「会社を辞めて、新しい人生を歩みます」と、それを実行に移そうとすると、たいていの人は引き留めようとします。
まわりの人にとっては、その人が変化することで、その変化の波が自分にも及んできます。
他者との関係をできるだけ固定化しておきたいと思うから、その人が変化することを望まないんです。

ところが、実際にそういう集団を離れて新しい場所に出てみると、今度は変化を恐れない人たちと出会うことになります。
新しいことをやろうとすると、そういう波に同調する人たちが現れ、「面白いね、応援するよ」となるわけです。