心に響いた言葉

何かしらの事情によって過剰に緊張してしまい、しどろもどろになってしまう場合を考えてみましょう。
このとき心は、緊張という怒りの煩悩を頭の中で作り続けて、身体を完全に無視しています。
したがって、「手は、ここにある、机に触れている」「息は今、少し乱れている、今、吸っている、今、吐いている」というように、心に身体を思い出させるようにすると、煩悩は静まってゆきます。
そして、緊張が少しは残っていたとしても、とにかく話を始めてしまい、胸や声帯が震えているこの感覚を意識するようにします。
そうするとグーッと集中が高まり、話すことの内容へとのめり込んでゆくことができるはずです。
この瞬間、もはや先ほどまでの怒りのエネルギーは鳴りを潜め、「何とかしなきゃ」という欲望その他の煩悩もまとめて薙ぎ払われています。
集中という名の特効薬によって、煩悩はかなりの程度まで鎮圧され、心は美しい空っぽに近づき、「空」を味見することができているのです。