怒り

最近ずっと、怒りにとらわれていた。
ある人に馬鹿にされていると感じ、その怒りがぐるぐると頭の中でエンドレスに駆け巡っていた。
わたしはこういう状態に陥りやすい。
怒ったときにすぐに言わないので、後になってから腹が立ってくる。
一度とらわれてしまうと、他のことを考えようとしても抜け出せなくなっていた。

「人にどう思われてもいい」という言葉も、むなしく素通りするだけだった。
たとえ自分の怒りが正当なものだとしても、怒ることは自分を傷つけるだけだという。
しかし、知識としてそういうことを知っているので、さらに自己嫌悪に陥ってしまう。
悪循環だ。

突き詰めていくと、自分に自信がないということなのか。
あるがままの自分をみとめていないということなのか。

自信のない猫はいない。自信のある猫もいない。
小さい頃は、それこそ猫のように、自分に対して絶対の確信を持っていた。
自分が絶対正しいと確信していた。
振り返ると、それが本来の姿なのかもしれない。
でも、この世で洗脳されて、いろいろ人の苦悩も味わわなければ、他の人の気持ちも分からない。

ぐちゃぐちゃな自分を受け入れようと思ったら、散らかっている奥の部屋が自分のように思え、そういう状態を受け入れ始めて、やっと片づけに取りかかれた。
散らかっているのを見るのも嫌だったのだが、受け入れて、やっと見ることができた。
片づけ始めると、妻のものが気になってしまうのだが、とにかく自分のものに集中しようと思った。
他の人より、まず自分だ。自分からすべてが変わっていく。

次の日、部屋がさらにきれいになっていた。
妻が片づけを始めた。子どもも片づけをがんばっていた。
伝わった。嬉しかった。

今日腹を立てていた人から話しかけられたのだが、いままでのことがどうでもよく感じられ、ばかばかしくなった。そしたらすっきりした。
なんだか独り相撲をしていたような、狐につままれたような気分だった。
まさに自分が創りだした幻想だったのだろうか。
どうやらやっと抜けたようだ。